良いと思う派の意見
80年台後半~90年台のバブル真っ盛りの時期に流行した言葉に「寿退社」というものがあります。
当時は女性の社会進出が進んできた時代でしたが、同時に昭和からの男女の役割を枠にはめる価値観が根深く継続してきた時代でもありました。
そのため、仕事をする女性といっても男性の補助的な業務を担当するのが当然と考えられていたのです。
そこで気の利いたことをしてより高収入で出世の見込みのある男性をつかまえて結婚し、自分はその後専業主婦として悠々自適に暮らすということが理想であるというような価値観がありました。
現在ではそうした「食わせてもらうことが幸せ」という価値観も薄れてきてはいるものの、仕事をするよりも家庭に入って好きなことをして暮らしたいと考える女性も依然多く、「寿退社」を目指して就職をするという人もいます。
アンケート調査でも「寿退社をよいことだと思うか」という質問に「はい」と答える女性は3割り程度いるとされており、結婚をすれば幸せになれるという考えで仕事に就く人がいることがわかります。
専業主婦志望の女性の中には単に「仕事をしたくない」というのではなく「家庭を守りたい」という考えをしている人がいるでしょう。
ただし、そうした「家庭を守る」の意味がどんどん変化してきている現在において、「寿退社」という言い方がいつまで続くかはわかりません。
反対派の意見
寿退社に否定的な女性の意見としては「腰掛けで仕事をされるのが迷惑」や、「仕事の場で色目を使うのが不快」ということがあります。
「腰掛け」というのは寿退社を前提として仕事をしているため、何か仕事を任せても真剣に取り組むことがなかったり、業務よりも男性との付き合いを優先させるというような意味合いが含まれます。
確かに一緒に仕事をしている同僚にしてみれば、自分は真面目に仕事をしている眼の前であからさまにサボって、自分の美容や男性ウケだけを考えるような人がいれば腹も立つでしょう。
ただ、職場恋愛そのものは完全に否定されるものではなく、仕事を通じて相手の人となりを知り、そこから結婚に至るということ自体は問題はありません。
寿退社が否定されるのは職場で恋愛や結婚をすること自体ではなく、利己的な理由で仕事を不真面目にするという態度に原因があると言えます。
寿退社は悪いことではないけれど
よりよい結婚相手を見つけるために、よい職場に就職をすることは全く間違いではありません。
ですが現在では「結婚後も仕事を続けて欲しい」と考える男性がアンケートで7割以上いるという結果が出ていることから、思い描くようなライフスタイルがとれるかどうかはわかりません。
少なくとも現在の就業環境において「腰掛けだからサボっていい」という価値観は、全く共感を得ることはないでしょう。
